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第41巻 第11号 2008年11月 [目次] [全文 ( PDF 894KB)]
症例報告

食道縦隔瘻を併発し食道切除術を行った良性食道潰瘍の1例

的野 吾, 田中 寿明, 末吉 晋, 田中 優一, 津福 達二, 西村 光平, 白水 和雄, 藤田 博正

久留米大学医学部外科学, 大牟田市立総合病院外科

 症例は49歳の男性で,1997年9月頃より嚥下困難出現し,近医で食道潰瘍の診断を受け,H2-blockerおよびproton pump inhibitor内服で約6年ほど保存的加療を行っていたが軽快せず,狭窄症状が出現したため,2003年7月当院紹介となった.当院にて精査したが,逆流性食道炎は存在せず,また24時間pH測定検査でも酸の逆流はなく,食道潰瘍の原因は判明しなかった.潰瘍は次第に悪化し,狭窄が強くなっていることから手術を勧めたが,患者は手術を拒否し,以来内視鏡下バルーン拡張術にて経過観察していた.2007年8月,背部痛が出現し,精査にて,食道潰瘍穿通による縦隔炎と診断し,右開胸による食道切除術を施行した.潰瘍周囲は強固に癒着しており,潰瘍底は大動脈であった.術後経過は良好で,第27病日に退院した.難治性食道潰瘍が穿通し縦隔炎を併発した症例に対し食道切除を行い良好な経過を得たので報告する.

索引用語
benign esophageal ulcer, esophagomediastinal fistula, esophagectomy

日消外会誌 41: 1892-1897, 2008

別刷請求先
的野  吾 〒830-0011 久留米市旭町67 久留米大学医学部外科学

受理年月日
2008年4月23日

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