症例報告
好酸球性膵炎が疑われた炎症性膵腫瘤の1例
安岡 康夫, 吉田 敦, 中城 徹, 山本 泰三, 阿部 康人*
済生会松山病院外科, 愛媛大学医学部分子病理*
患者は69歳の男性で,発熱を主訴に近医を受診,腹部超音波検査上,膵腫瘍を指摘され紹介された.腹部CT上膵尾部に嚢胞状腫瘤を認めた.ERP上は軽度の主膵管広狭不同を認めたが,Vater乳頭は正常,好酸球性胃腸炎の所見も認めなかった.腫瘍マーカーも正常範囲内で,血管造影検査上も悪性所見は認めなかった.慢性膵炎に伴う炎症性腫瘤と判断し,保存的加療にて改善した.6か月後,再び同部に腫瘤が出現した.保存的加療後も膵尾部の腫瘤性病変が残存するため,悪性疾患を疑い,膵尾脾合併切除術を行った.病理組織学的検査所見上,間質に著明な好酸球の浸潤を認め,好酸球性膵炎が疑われた.術後12か月,膵体部に再び腫瘤性病変が認められたが,抗アレルギー剤投与により改善した.以後,寛解状態を維持している.好酸球性膵炎は非常にまれな疾患であり,検索しえた範囲内では本邦報告例は存在しない.若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語
eosinophilic pancreatitis, inflammatory pancreatic tumor
日消外会誌 41: 1953-1959, 2008
別刷請求先
安岡 康夫 〒791-8026 松山市山西880-2 済生会松山病院
受理年月日
2008年5月21日
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