症例報告
リンパ節転移を伴った上行結腸gastrointestinal stromal tumorの1切除例
山口 直哉, 塩見 正哉, 東島 由一郎, 神谷 諭, 渡邊 克隆, 尾辻 英彦, 柴田 耕治, 神谷 順一
JA愛知厚生連豊田厚生病院外科
症例は46歳の男性で,急性虫垂炎を合併した上行結腸癌の診断に対して右半結腸切除術を施行した.腫瘍径は9 cmであった.病理組織学的にgastrointestinal stromal tumor(以下,GIST)と診断した.回結腸リンパ節1個に転移を認めた.右腎下極との剥離面が断端陽性であったため,術後イマチニブを投与した.術後9か月に残存腫瘍の増大を認め,術後10か月に死亡した.大腸に発生するGISTは全消化管GISTの10%以下である.小腸・大腸のGISTの平均生存期間は29か月と報告され,胃GISTに比べ短い.本例ではリンパ節転移を伴っていたが,リンパ節転移を伴った上行結腸GISTの症例報告はない.手術治療においては完全切除が大切であるが本例では不可能であった.リンパ節転移を認めたものの,原発部位の完全切除が不可能であったためその郭清の意義は低かった.
索引用語
gastrointestinal stromal tumor, imatinib, lymph node metastasis
日消外会誌 41: 1983-1987, 2008
別刷請求先
山口 直哉 〒470-0396 豊田市浄水町伊保原500-1 JA愛知厚生連豊田厚生病院外科
受理年月日
2008年4月23日
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