症例報告
前立腺・精嚢合併切除にて根治手術を施行し5年生存を得られた直腸癌の1例
松崎 弘志, 清水 英一郎, 鈴木 孝雄, 五十嵐 辰男*
最成病院外科, 千葉大学大学院医学研究院泌尿器科*
患者は52歳の男性で,下腹部痛・下血を主訴に当院受診した.大腸内視鏡検査で直腸前壁を主座とする2型の腫瘍を認め,CTとMRIでは前立腺・精嚢に接していた.術中所見で前方浸潤を疑い,膀胱の一部・前立腺・精嚢を一塊に合併切除し,腹会陰式直腸切断術を行った.膀胱壁を修復し,尿道の断端と吻合した.術後約6か月尿漏れに対する内服を要したが,自排尿可能で,通常の直腸切断術と何ら変わりないquality of life(以下,QOL)を保っている.術後4年2か月で肝転移が出現して肝切除を行い,5年2か月現在,健在である.本術式は根治性とQOLの維持が両立し,前立腺・精嚢のみへの浸潤を疑う直腸癌に対し,考慮すべきであると考えられたので若干の文献的考察を加え報告した.
索引用語
rectal cancer, infiltration, prostatectomy
日消外会誌 41: 1994-1999, 2008
別刷請求先
松崎 弘志 〒262-8506 千葉市花見川区柏井町800-1 最成病院外科
受理年月日
2008年5月21日
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