症例報告
逆流性食道炎による瘢痕性狭窄に対し腹腔鏡下手術が有効であった1例
二渡 信江, 片田 夏也, 森谷 宏光, 山下 継史, 桜本 信一, 菊池 史郎, 渡邊 昌彦
北里大学外科
症例は64歳の男性で,5年前より胸焼けを,2か月前より食物のつかえ感と頻回の嘔吐を認め来院した.上部消化管内視鏡検査にて逆流性食道炎(Los Angeles分類;以下,LA:Grade D)を認め,食道胃接合部には食道炎によるpin hole状の瘢痕性狭窄を伴っていた.初期治療としてプロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor;以下,PPI)の投薬を開始したが症状は改善しなかった.次に,バルーンにて計7回の拡張術を施行したが,拡張後早期の再狭窄を繰り返した.24時間食道pHモニタリングでは食道内酸逆流時間は6.8%であり,食道内圧検査では食道体部に運動機能障害を認めた.以上より,逆流性食道炎による食道狭窄と診断し,内科的治療に抵抗性であったため腹腔鏡下Toupet噴門形成術を施行した.術後つかえ感は消失し,内視鏡では粘膜障害と食道狭窄が消失した.pHモニタリングでも酸逆流時間は0.3%と正常化した.
索引用語
reflux esophagitis, esophagial stenosis, laparoscopic surgery
日消外会誌 41: 2011-2017, 2008
別刷請求先
二渡 信江 〒228-8520 相模原市麻溝台2-1-1 北里大学外科
受理年月日
2008年5月21日
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