症例報告
残胃に悪性リンパ腫と胃癌の衝突腫瘍を認めた1例
高橋 聡, 梨本 篤, 中川 悟, 藪崎 裕, 太田 玉紀*
新潟県立がんセンター新潟病院外科, 同 病理部*
今回,我々は極めてまれとされている残胃に発生した悪性リンパ腫と癌腫の衝突腫瘍症例を経験したので報告する.症例は79歳の男性で,67歳時に十二指腸悪性リンパ腫(Non Hodgkin lymphoma,diffuse,small B cell type)にて幽門側胃切除術,Billroth II法再建を施行された.2005年5月,糖尿病の治療目的で入院した際の上部消化管内視鏡検査で残胃吻合部後壁に2型胃癌を指摘された.2005年6月,当科にて残胃全摘術,D1リンパ節郭清を施行された.病理組織学的診断の結果,悪性リンパ腫(Non Hodgkin lymphoma,diffuse,small B cell type,深達度fSM)と低分化腺癌(深達度fMP)との衝突腫瘍と診断された.リンパ節転移は認めなかった.術後,肺炎および全身衰弱のため長期の入院加療を要した.退院後は悪性リンパ腫,癌腫ともに明らかな再発を認めずに経過したが,術後2年目に重症肺炎にて死亡した.
索引用語
remnant stomach, gastric cancer, malignant lymphoma
日消外会誌 41: 2023-2028, 2008
別刷請求先
高橋 聡 〒951-8510 新潟市中央区旭町通1-757 新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器・一般外科学分野
受理年月日
2008年6月18日
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