肝癌を含む同時性4重複癌切除の1例

前原　直樹, 千々岩　一男, 近藤　千博, 佛坂　正幸, 日高　秀樹, 鮫島　直樹^1）, 丸塚　浩助^1）, 桑原　一郎^2）, 濱砂　良一^3）, 浅田　祐士郎^1）

宮崎大学医学部腫瘍機能制御外科, 同　第1病理^1）, 同　放射線科^2）, 同　泌尿器科^3）

　症例は78歳の男性で，近医での検診目的の上部消化管内視鏡検査で早期胃癌を指摘され，精査加療目的で前医を紹介された．前医での精査中に肝腫瘍，左腎腫瘍を指摘されたため，精査加療目的で当科紹介となった．当科での下部消化管内視鏡検査で直腸癌も存在していた．同時性4重複癌の診断で，4期的に内視鏡的胃粘膜下層剥離術，肝左葉切除術，腹会陰式直腸切断術，左腎摘出術を施行した．病理組織学的診断は，胃：高分化型腺癌，肝：肝細胞癌，直腸：高分化型腺癌，左腎：腎細胞癌であった．肝癌を含む4重複癌の報告は，本症例を含め4例のみと非常にまれで，同時性となると1例のみの報告しかなく，文献的考察を加えて報告する．

索引用語
synchronous, quadruple cancer, hepatocellular carcinoma

別刷請求先
千々岩一男　〒889-1692　宮崎郡清武町木原5200　宮崎大学医学部腫瘍機能制御外科

受理年月日
2008年5月21日

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