症例報告
下部胆管より発生したと考えられるgastrointestinal stromal tumorを伴った真性癌肉腫の1例
安村 友敬, 山口 大輔, 斉田 真, 矢川 彰治, 小澤 俊総
社会保険山梨病院外科
69歳の女性で,右季肋部痛を主訴に当院を受診された.諸検査の結果,下部胆管から十二指腸内腔にかけて腫瘤が認められたが,確定診断に至らず,十二指腸乳頭部癌,十二指腸癌,gastrointestinal stromal tumor(以下,GIST),胆管癌を鑑別診断として考え,膵頭十二指腸切除を行った.標本割面では下部胆管から十二指腸下降脚内に突出する80×75×34 mm大の結節型の腫瘤が認められ,病理組織学的診断で,同一腫瘍内に腺癌,扁平上皮癌と肉腫組織が確認された.免疫染色検査の結果,肉腫組織はc-kit強陽性であり,下部胆管が原発と考えられるGISTを伴った真性癌肉腫と診断された.根治手術であったが,術後184日目,多発肝,肺,リンパ節転移を生じ死亡された.胆管原発の真性癌肉腫は極めてまれであるため報告する.
索引用語
true carcinosarcoma, bile duct, gastrointestinal stromal tumor
日消外会誌 41: 2047-2052, 2008
別刷請求先
安村 友敬 〒400-0008 甲府市朝日3-8-31 社会保険山梨病院外科
受理年月日
2008年6月18日
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