症例報告
十二指腸癌術後多発大腸脈管性転移の1例
中川 朋, 水島 恒和, 位藤 俊一, 水野 均, 宇田津 有子, 杉村 啓二郎, 友國 晃, 今北 正美*, 岩瀬 和裕**, 伊豆蔵 正明
りんくう総合医療センター市立泉佐野病院外科, 同 検査科*, 大阪府立急性期・総合医療センター外科**
症例は69歳の男性で,2004年1月十二指腸癌に対し,膵頭十二指腸切除術を施行した.2006年1月頃より腹満を自覚した.下部消化管内視鏡検査にて,肝彎曲部,横行結腸,S状結腸に全周性の狭窄を認め,バルーン拡張を行った.粘膜面に異常所見を認めず,粘膜下層の生検で悪性所見を認めず.再度腹満が出現し,4月には腸閉塞となった.腹部CTにて上行結腸,S状結腸,回盲部の壁肥厚を,18fluoro-deoxyglucose positron emission tomography(FDG-PET)にて横行結腸に異常集積像を認めた.画像検査から十二指腸癌の腹腔内播種も疑われたが,良性狭窄の可能性も否定しえなかった.同年5月に右半結腸切除術,横行結腸切除術,S状結腸切除術を施行した.病理組織学的検査で,いずれの狭窄部も筋層または粘膜下層に腺管形成を示す異型細胞の浸潤を認め,十二指腸癌の脈管性の大腸転移と診断した.十二指腸を原発とする脈管性の大腸転移は極めてまれであり,文献的考察を加えて報告する.
索引用語
metastatic colon cancer, duodenal carcinoma
別刷請求先
水島 恒和 〒598-0048 泉佐野市りんくう往来北2-23 りんくう総合医療センター市立泉佐野病院外科
受理年月日
2008年7月23日
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