症例報告
心嚢―腹腔開窓孔による心嚢内ヘルニア嵌頓の1例
国末 浩範, 市原 周治, 野村 修一, 野上 智弘, 森 秀暁, 大谷 裕, 石堂 展宏, 太田 徹哉, 臼井 由行, 田中 信一郎
国立病院機構岡山医療センター外科
症例は96歳の女性で,既往歴として平成19年2月に心嚢液貯留に対し,心嚢―腹腔開窓術を施行されていた.平成19年7月初旬,急に激しい腹痛が出現し,当院を紹介され受診した.腹部は軟らかいが,腹部全体に圧痛を認めた.腹部CTにて心嚢内に腸管が嵌頓するように入り込んでおり,心嚢―腹腔開窓孔による心嚢内ヘルニア嵌頓を疑い開腹術を施行した.開腹所見ではトライツから370 cmの小腸が約30 cm心嚢―腹腔開窓孔から心嚢内に入り込み絞扼され腸管が壊死していた.開窓孔を広げ腸管を腹腔に戻し,小腸部分切除を施行した.また,開窓孔は肝円索にて緩めに覆い閉鎖した.術後の経過は良好で第24病日に退院した.心嚢―腹腔開窓孔による心嚢内ヘルニア嵌屯はまれであるので報告する.
索引用語
intrapericardial hernia, strangulated ileus, pericardial-peritoneal window
別刷請求先
国末 浩範 〒701-1192 岡山市田益1711-1 国立病院機構岡山医療センター外科
受理年月日
2008年7月23日
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