症例報告
動門脈瘻を伴う肝内動脈瘤の1例
立野 太郎, 上野 真一, 迫田 雅彦, 久保 文武, 樋渡 清司, 大塚 綱志, 蔵原 弘, 又木 雄弘, 新地 洋之, 夏越 祥次
鹿児島大学腫瘍制御学・消化器外科学
動門脈瘻を伴う肝内動脈瘤の1例を経験したので報告する.症例は57歳の女性で,C型肝炎ウイルスによる肝硬変に発生した肝細胞癌の精査中に肝動脈瘤を診断された.血管造影検査にて左胃動脈より起始する副左肝動脈に径約3 cmの動脈瘤を認め,動門脈瘻を伴っていた.塞栓術による治療を検討したが,側副血行路と動門脈瘻があり,塞栓術単独での根治は困難と考えられたため,肝外側区域切除術を行った.病理組織学的には真性動脈瘤であった.本症は比較的まれな疾患で,破裂例の死亡率は高いが,近年では未破裂の肝動脈瘤が診断されることが増加している.根治には動脈瘤への完全な血流遮断が必要であるが,肝内動脈瘤では側副血行路の存在が問題となるため,慎重な検討が必要である.
索引用語
hepatic artery aneurysm, hepatectomy, arterio-portal shunt
別刷請求先
立野 太郎 〒890-8520 鹿児島市桜ヶ丘8-35-1 鹿児島大学大学院腫瘍制御学・消化器外科学
受理年月日
2008年7月23日
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