症例報告
直腸原発奇形腫の1例
田中 毅, 的場 周一郎, 澤田 壽仁, 春田 周宇介, 戸田 重夫, 森山 仁, 横山 剛, 橋本 雅司, 宇田川 晴司, 渡邊 五朗
虎の門病院消化器外科
今回,我々は直腸原発奇形腫の1例を経験したので報告する.症例は34歳の女性で,下血を認めたため大腸内視鏡検査を施行し,肛門輪より8 cmのRa前壁に毛髪を伴った易出血性の1/4周性の隆起性病変を認めた.MRIでは直腸前壁から腹側に突出し,造影効果のはっきりしない径約3 cmのmass lesionが見られ,脂肪成分を含む腫瘍性病変が疑われた.直腸奇形腫の診断にて低位前方切除を施行したが,腫瘍と子宮の癒着剥離は困難であり子宮を合併切除した.病理組織学的検査では直腸壁内,漿膜下層主に嚢胞形成を認め,内腔には壊死物,毛髪を入れ周囲には膿瘍形成がみられた.嚢胞内面を覆う上皮成分,毛嚢組織,皮膚付属組織は明らかではなく毛髪以外に奇形腫成分はみられなかった.また,卵巣構造,悪性所見,未熟成分も認めず,直腸壁漿膜下層より発生したcystic teratomaが直腸内腔に破裂したものと考えられた.
索引用語
teratoma, dermoid cyst, rectum
別刷請求先
田中 毅 〒105-8470 港区虎ノ門2-2-2 虎の門病院消化器外科
受理年月日
2008年6月18日
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