症例報告
右大動脈弓に合併した食道癌の1切除例
瀬戸口 智彦, 神谷 欣志, 今野 弘之
浜松医科大学外科学第2講座
症例は61歳の男性で,咽頭の違和感,胸部のつかえ感を主訴に近医を受診した.上部消化管内視鏡検査で食道癌と診断され,当科紹介となった.入院時の胸部単純X線検査で右大動脈弓を認め,3DCTおよび血管造影検査でEdwards IIIB型の右大動脈弓と診断した.上部消化管内視鏡検査,食道造影検査,頸胸腹部CTからAeLt/Mt 3型の多発食道癌cT3,cN0,cM0,cStage IIと診断し,左開胸開腹食道亜全摘術,3領域郭清を施行した.術前,術中所見でも明らかなリンパ節転移は認めなかったため,胸骨縦切開による上縦隔の郭清の追加は行わず,胸骨後経路で胃管再建を行った.右大動脈弓を合併した食道癌症例では術中の神経,血管の同定が困難であり,術前のCT,血管造影検査などで解剖を十分理解しておくことが重要であった.
索引用語
esophageal cancer, right aortic arch, surgery
別刷請求先
瀬戸口智彦 〒431-3192 浜松市東区半田山1-20-1 浜松医科大学医学部外科学第2講座
受理年月日
2008年9月24日
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