症例報告
上行結腸に転移を来した肝細胞癌の1切除例
松本 浩次, 高野 裕, 神崎 雅樹, 前田 守, 森 博昭, 三好 俊策, 脇田 俊彦1), 手島 伸一2)
同愛記念病院外科, 同 放射線科1), 同 病理2)
症例は59歳の男性で,2000年5月,肝S5肝細胞癌に対し,肝S5部分切除術を施行し,2001年3月肝S6肝細胞癌に対し,肝S6部分切除術を施行した.2007年2月,腹部CTにて,門脈右枝腫瘍塞栓および肝S5,6に腫瘍濃染像を認めtranscatheter hepatic arterial embolization(以下,TAE)を施行した.2007年8月,下血を主訴に受診,腹部CTにて,上行結腸内腔に腫瘍性病変を認め,大腸内視鏡検査で同部位に易出血性の隆起性病変を認めた.その後も下血を繰り返したため,腹部血管造影下に塞栓術を施行するも症状継続するため,上行結腸部分切除術を施行した.腫瘍は,最大径5.5 cm大,粘膜層から一部漿膜下層におよび転移形態は血行性転移と診断.術後肝機能が徐々に悪化,肝不全に陥り,術後第18病日に死亡した.今回,肝細胞癌の上行結腸転移というまれな1例を経験したので報告する.
索引用語
hepatocellular carcinoma, ascending colon, metastasis
別刷請求先
松本 浩次 〒130-8587 墨田区横網2-1-11 同愛記念病院外科
受理年月日
2008年9月24日
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