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第42巻 第3号 2009年3月 [目次] [全文 ( PDF 1037KB)]
症例報告

空腸腸間膜に出血性嚢胞を形成して発病した腸管アミロイドーシスの1例

栗田 信浩, 島田 光生, 吉川 幸造, 宮谷 知彦, 東島 潤, 西岡 将規, 岩田 貴

徳島大学外科

 症例は慢性関節リューマチなどの慢性炎症性疾患の既往がない70歳代の男性で,上腹部痛を主訴に近医を受診した.腹部CT,MRI,positron emission tomography-CTにて直径5 cmの空腸腸間膜内に存在する嚢胞性腫瘤を疑い,開腹手術を行った.空腸腸間膜内に嚢胞性腫瘤が確認され,周囲には腫大したリンパ節が多発していた.摘出した嚢胞性腫瘤の内容は陳旧性の出血であった.病理組織学的検査では空腸粘膜下組織の血管壁にAA型アミロイドの沈着と広範な出血がみられた.腸間膜の脂肪織には虚血に起因する脂肪壊死を認め,リンパ節にも著明にアミロイドが沈着していた.腸間膜の嚢胞壁は肉芽組織で形成されており,血管壁の脆弱化による出血から嚢胞性病変を形成したと考えられた.腸間膜に出血性嚢胞を伴う消化管アミロイドーシスの報告はみられず,慢性炎症性疾患の既往のない症例でもアミロイドーシスの可能性を念頭におく必要があると考えられた.

索引用語
amyloidosis, mesenteric cyst, hemorrhage

日消外会誌 42: 270-275, 2009

別刷請求先
島田 光生 〒770-8503 徳島市蔵本町3-18-15 徳島大学外科

受理年月日
2008年9月24日

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