症例報告
本態性血小板血症を合併した胃癌に対して腹腔鏡補助下胃全摘出術を施行した1例
吉川 幸造, 島田 光生, 栗田 信浩, 岩田 貴, 西岡 将規, 東島 潤, 宮谷 知彦, 近清 素也, 中尾 寿宏, 小松 正人
徳島大学外科
症例は77歳の男性で,8年前より本態性血小板血症の診断でアスピリン,ヒドロキシカルバミドの内服で治療をされていた.心窩部の不快感を主訴に近医で胃内視鏡検査を施行したところ,U領域に胃癌が認められ手術目的に紹介となった.術前7日前よりアスピリンを中止し,ヘパリンの経静脈投与を開始し,ヒドロキシカルバミドを術前2日前に中止した.手術は腹腔鏡補助下胃全摘出術を施行した.術後はヘパリン,アスピリン,ヒドロキシカルバミドを投与し血小板をコントロールし,血栓などの合併症を引き起こすことなく退院となった.本態性血小板血症は血栓などの合併症の報告があるために,周術期には血小板のコントロールや厳重な抗凝固治療が重要である.検索した範囲では本態性血小板血症を合併した消化管癌に対して腹腔鏡での治療例は本例が1例目であった.
索引用語
Essential thrombocythemia, hydroxycarbamide, gastric cancer
別刷請求先
吉川 幸造 〒770-8503 徳島市蔵本町3-18-15 徳島大学外科
受理年月日
2008年10月22日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|