症例報告
尾状葉原発肝粘液性嚢胞腺腫の1例
山本 晴美, 永野 靖彦, 中嶌 雅之, 藤井 正一, 國崎 主税, 佐々木 毅*, 嶋田 紘**
横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター外科, 同 病理*, 横浜市立大学大学院消化器病態外科学**
症例は74歳の女性で,2007年2月心窩部痛を主訴に近医を受診し,腹部超音波検査で膵頭部近傍の嚢胞性腫瘤を指摘され当院を受診した.腹部CT,超音波,MRI検査で肝尾状葉に内部に造影効果を示す隔壁のある7 cm大の多房性の嚢胞性腫瘤を認め,一部に石灰化を伴っていた.肝粘液性嚢胞腺腫(mucinous cystadenoma;以下,MCA)と診断し,肝左葉・左尾状葉切除術を施行した.摘出標本は,5.5 cm大の多房性嚢胞性腫瘍であり,嚢胞内容は淡黄色透明の粘液であった.病理組織学的検査で嚢胞壁は粘液を有する円柱上皮で被覆され,一部に卵巣様間質に類似する部分を認めた.異型は認められず,肝MCAと診断した.尾状葉原発の肝MCAはまれな疾患で,本邦報告は3例のみである.嚢胞腺腫と嚢胞腺癌を術前に鑑別することは困難であり,肝MCAと診断しても経過観察はせず外科的切除が必要である.
索引用語
hepatic mucinous cystadenoma, caudate lobe, ovarian-like stroma
別刷請求先
永野 靖彦 〒232-0024 横浜市南区浦舟町4-57 横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター消化器病センター
受理年月日
2008年10月22日
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