症例報告
剖検で診断された大腸natural killer/T細胞性悪性リンパ腫の1例
梅原 誠司, 廣中 愛, 山口 明浩, 内山 清, 清水 義博, 南川 哲寛*
第二岡本総合病院外科, 同 病理部*
症例は51歳の男性で,肝機能障害加療中に下血が出現し,大腸内視鏡検査で下行結腸潰瘍を認めたが,生検組織は非特異的炎症のみであった.退院2日後,再下血による出血性ショックで救急搬送され,内視鏡的に止血できなかったため緊急手術となった.結腸の潰瘍が脾臓と膵臓へ穿通しており,穿通部を含む結腸,脾臓,膵尾部を切除した.組織学的検査では病変部の壊死が高度で浸潤細胞の変性が著しいため,原因疾患を特定できなかった.術後8日目に縫合不全を合併し人工肛門造設術を行ったが,以後の経過は良好であった.術後71日目に急激な肝機能障害を認め,劇症肝炎と診断した.集中治療を開始したが術後77日目に死亡し,剖検から肺,肝,腎臓への多発性転移を伴う,左結腸部原発natural killer/T細胞性悪性リンパ腫と診断された.原因不明の結腸潰瘍では,頻度は低いが悪性リンパ腫の可能性も考慮し,詳細な全身検索および病理組織学的検索が必要である.
索引用語
enteropathy-type T-cell lymphoma, primary colorectal malignant lymphoma, NK/T-cell lymphoma
別刷請求先
梅原 誠司 〒611-0025 宇治市神明石塚54-14 第二岡本総合病院外科
受理年月日
2008年10月22日
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