症例報告
Ball valve症候群を来した胃体部進行胃癌の1例
林 友樹, 宮田 完志, 湯浅 典博, 竹内 英司, 後藤 康友, 三宅 秀夫, 長澤 圭一, 大森 健治, 高橋 崇真, 小林 陽一郎
名古屋第一赤十字病院一般消化器外科
症例は63歳の男性で,主訴は腹痛.当院内科に糖尿病で通院中,腹痛があり,貧血・便潜血陽性を指摘された.内視鏡検査で胃体中部大彎に亜有茎性腫瘍を認め,生検にて高分化型腺癌と診断された.上部消化管造影検査,CTで胃体中部の径6 cmの結節状腫瘍が十二指腸球部にはまり込んでいるのが確認された.超音波内視鏡検査で固有筋層以深の深達度と診断され,幽門側胃切除,D2リンパ節郭清を施行した.病理組織学的に中分化型管状腺癌,pT2(SS),ly1,v1,pN2と診断された.本邦報告例の検討ではball valve症候群を伴う胃腫瘍は平均61 mmと比較的大きく,病理組織学的に癌,筋原性腫瘍,gastrointestinal stromal tumorが多く,癌は高分化型癌,乳頭腺癌が多い.本邦報告例では本症を呈した胃癌15例中5例が進行癌で,亜有茎性腫瘍であっても内視鏡的切除,縮小切除の適応は慎重であるべきである.
索引用語
ball valve syndrome, gastric cancer, abdominal pain
別刷請求先
林 友樹 〒453-8511 名古屋市中村区道下町3-35 名古屋第一赤十字病院一般消化器外科
受理年月日
2008年11月19日
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