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第42巻 第5号 2009年5月 [目次] [全文 ( PDF 1011KB)]
症例報告

主病変の切除により著明に消退したdermadromeを呈した胃癌の1例

黨 和夫, 野中 隆, 柴田 良仁, 持永 浩史, 島 義勝, 本庄 誠司, 岡 忠之, 内藤 愼二

国立病院機構嬉野医療センター外科, 同 病理

 症例は71歳の男性で,心窩部痛を主訴に近医を受診した.上部消化管内視鏡検査で胃前庭部後壁に2型の胃癌を指摘され当科に入院となった.腹部造影CTで膵頭部周囲および腹腔動脈周囲に胃癌転移による多数のリンパ節腫大を認めたため,CPT-11,TS-1を用いた化学療法を行った.主病変と転移リンパ節は著明に縮小したが,4コース目の開始前頃より全身に難治性の非定型環状紅斑が出現したため腫瘍随伴皮膚病変(dermadrome)を疑い皮膚症状の改善を期待し幽門側胃切除術を施行した.術後5日目より前胸部および両側上肢に多量の落屑が見られ,次第に色素沈着様となり,術後27日目には全身の皮膚病変はほぼ消退した.その後,多発肝転移,癌性腹膜炎を来し術後80日目に死亡したが,皮膚病変の再燃は認めなかった.日常の臨床の場で,難治性の皮膚症状を呈する症例を経験した際は,内臓悪性疾患の存在も念頭におく必要がある.

索引用語
dermadrome, gastric cancer, erythema annulare

日消外会誌 42: 483-488, 2009

別刷請求先
黨  和夫 〒843-0393 嬉野市嬉野町大字下宿丙2436 国立病院機構嬉野医療センター外科

受理年月日
2008年11月19日

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