症例報告
急性胆嚢炎を発症した胆嚢異所性膵の1例
岡本 信彦, 山藤 和夫, 松井 淳一, 朝見 淳規, 竹島 薫, 林 憲孝, 馬場 秀雄
さいたま市立病院外科
患者は78歳の女性で,上腹部痛を自覚し他院を受診したが改善せず,当院内科に紹介受診となった.腹部超音波検査上,胆嚢の著明な腫大,胆嚢壁肥厚を認め,急性胆嚢炎の疑いで入院となった.炎症反応は高値であったが,肝胆道系酵素の上昇,黄疸は認めなかった.入院当日に経皮経肝胆嚢ドレナージチューブを挿入した.チューブ造影検査では,胆嚢頸部に狭窄を認め,胆嚢腫瘍の可能性も否定できなかったが,腹部超音波,超音波内視鏡検査,腹部CTでは胆嚢頸部の腫瘍性病変は認めなかった.胆汁細胞診はclass IIまたはIIIであった.胆嚢腫瘍または腺筋腫症の疑いで腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.摘出標本では,胆嚢全体に壁肥厚を認め,胆嚢頸部胆嚢管移行部での狭窄を認めるが,粘膜病変は認めなかった.病理組織学的には狭窄部に一致して漿膜下層に腺房と導管を認め,Heinrich II型の異所性膵と診断された.
索引用語
heterotopic pancreas tissue, acute cholecystitis, laparoscopic cholecystectomy
別刷請求先
岡本 信彦 〒336-8522 さいたま市緑区三室2460 さいたま市立病院外科
受理年月日
2008年12月17日
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