外科的治療を繰り返し長期生存している粘液産生胆管癌の1例

蔵原　弘, 新地　洋之, 又木　雄弘, 前田　真一, 夏越　祥次, 高尾　尊身^＊

鹿児島大学大学院腫瘍制御学消化器外科, 同　フロンティアサイエンスリサーチセンター^＊

　粘液産生胆管腫瘍の生物学的特徴に関してはまだ不明な点が多い．今回，我々は粘液産生胆管癌に対して，計5回の治療を施行し，約11年間の長期経過を観察している症例に関して，文献的考察を加えて報告する．症例は67歳の男性で，最初にB4胆管を主座とする粘液産生胆管腫瘍を指摘され，肝内側区切除術＋左尾状葉切除術を施行した．病理組織学的検査では深達度mの粘液産生胆管癌であった．半年後に右尾状葉枝根部の腫瘍に対してYAGレーザー焼灼を施行し，さらにその半年後に総肝管の腫瘍に対して，総肝管切開腫瘍摘出術を施行した．2年4か月後に右肝管の腫瘍を指摘され，肝外胆管切除術＋胆管空腸吻合術を施行し，その2か月後に肝後区域枝の腫瘍に対してYAGレーザー焼灼施行した．最終治療から7年後の現在まで再発を認めておらず，厳重な経過観察と根気強い外科的治療の繰り返しで長期生存を得ることが可能であることが示唆された．

索引用語
mucin producing bile duct tumor, intraductal papillary neoplasm of bile duct, bile duct cancer

別刷請求先
蔵原　　弘　〒890-8520　鹿児島市桜ヶ丘8-35-1　鹿児島大学大学院腫瘍制御学消化器外科

受理年月日
2008年11月19日

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