症例報告
腸回転異常症に起因した内ヘルニアによる絞扼性イレウスの1例
齋田 真, 矢川 彰治, 山口 大輔, 安村 友敬, 小澤 俊総
社会保険山梨病院外科
腸回転異常症に起因した傍十二指腸ヘルニアによる絞扼性イレウスの手術例を経験したので報告する.症例は25歳の男性で,突然の嘔吐と著明な腹痛を主訴に当院受診した.腹部CTにて右側腹部の盲嚢状構造物内に造影効果の乏しい腸管と集束した腸間膜を認めた.十二指腸は下行脚から上腸間膜動脈右側を走行し空腸に移行しており,腸回転異常症に起因した傍十二指腸ヘルニアによる絞扼性イレウスの診断に対し緊急手術を施行した.開腹所見では結腸間膜と後腹膜との癒合不全を認め,同部位が約3 cmのヘルニア門を形成し,空腸が約40 cm嵌入,嵌頓していた.嵌頓した空腸を引き出し,絞扼を解除すると,腸管色調良好となったため腸管切離は施行せず,ヘルニア門は大きく開放することで再燃の可能性は低いと判断し手術終了とした.腸回転異常症は先天性疾患であり,本症例のような傍十二指腸ヘルニアによる成人発症例は比較的まれであると考えられた.
索引用語
intestinal malrotation, paraduodenal hernia, adult
別刷請求先
齋田 真 〒400-0025 甲府市朝日3-8-31 社会保険山梨病院外科
受理年月日
2008年11月19日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|