症例報告
腹膜炎症状を伴った小腸リンパ管拡張症の1例
林 啓一, 柴田 近, 舟山 裕士*, 福島 浩平, 三浦 康, 高橋 賢一*, 小川 仁, 上野 達也, 木内 誠, 佐々木 巖
東北大学大学院医学系研究科生体調節外科学分野, 東北労災病院外科*
症例は21歳の男性で,2002年,近医で急性虫垂炎に対し虫垂切除術を施行された.この際,回腸末端に炎症所見を認め精査目的に当院消化器内科へ紹介となった.小腸造影検査で回腸末端に結節性の病変を認めたが,その他の異常所見を認めず原因不明の腸炎として経過観察していた.2005年7月に下腹部痛,発熱を認め腹膜炎を疑い当院入院.保存的治療で症状は軽快したが診断に至らず,画像検査上,腸間膜腫瘍も否定できないため,開腹手術を施行した.術中所見ではBauhin弁の口側45 cm~65 cmの範囲の回腸壁の炎症と腸間膜内に1 cm以下の嚢胞性病変が多発し,回腸部分切除術を施行した.標本の肉眼検査所見では正常粘膜との境界が明瞭な多発性嚢胞様病変を認めた.病理組織学的検査所見では小腸全層~腸間膜にかけての多発性の管腔形成性病変を認め,腸リンパ管拡張症と診断した.
索引用語
lymphangiectasia, acute abdomen, peritonitis
別刷請求先
林 啓一 〒980-8574 仙台市青葉区星陵町1-1 東北大学大学院医学系研究科生体調節外科
受理年月日
2008年11月19日
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