症例報告
原発性アミロイドーシスに伴う慢性偽性腸閉塞症の1例
佐藤 学, 柴田 近, 小林 照忠, 上野 達也, 木内 誠, 長尾 宗紀, 林 啓一, 佐々木 巖
東北大学生体調節外科学分野
短期間で増悪した原発性アミロイドーシスに伴う続発性慢性偽性腸閉塞症(secondary chronic intestinal pseudo-obstruction;以下,Secondary CIP)を経験した.症例は56歳の男性で,2004年より腹部膨満感が出現し近医で特発性CIPと診断された.2005年初めより症状が増悪したため,イレウスチューブを5か月間以上留置するも改善せず,2006年に当科紹介・入院となった.イレウスチューブから連日2,000 ml以上の排液を認め,イレウスチューブの再挿入時に十二指腸穿孔が疑われ緊急手術となった.術中所見では十二指腸損傷は同定できなかったが,Treitz靭帯から回盲弁の口側100 cmまでの小腸の著明な拡張,腸管壁の脆弱化が認められたため,小腸を約300 cm切除し,空腸瘻を作成した.病理組織学的検査所見で原発性アミロイドーシスに続発するCIPの診断となったが,術後半年で原病死した.原発性アミロイドーシスに伴うCIPは予後不良であり,対処療法しかないのが現状である.
索引用語
chronic intestinal pseudo-obstruction, primary amyloidosis
別刷請求先
佐藤 学 〒980-8574 仙台市青葉区星陵町1-1 東北大学生体調節外科
受理年月日
2008年12月17日
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