症例報告
腹壁高度肥厚のあるスポーツ選手に対して腹腔鏡下虫垂切除術が有用であった1例
萩原 謙, 松田 年, 山形 基夫, 五十嵐 雅仁, 林 成興, 宋 圭男, 藤井 雅志, 高山 忠利
日本大学医学部消化器外科
症例は19歳の男性で,スポーツ選手である.腹痛を主訴に前医を受診され虫垂炎の診断であったが,身長164 cm,体重140 kg(BMI 52.1)と過度の肥満のため開腹下虫垂切除術は困難と考え当院を紹介受診された.腹膜炎を合併し,手術適応と考え腹腔鏡下虫垂切除術(laparoscopic appendectomy;以下,LA)を選択し同日施行した.虫垂は体部で穿孔し,腹腔内全体に膿性腹水を認め壊疽性虫垂炎による汎発性腹膜炎の診断であったが,十分な洗浄,ドレナージが可能であり,4孔のトロカール創のみで完遂可能であった.術後経過は良好で競技生活を継続中である.今回,我々は通常の開腹操作では困難と想定される腹壁高度肥厚を伴うスポーツ選手の急性虫垂炎穿孔症例に対してLAが有用であった1例を経験した.腹壁への過大侵襲を回避する必要のあるスポーツ選手にとってLAは有効な選択肢の一つになりうると考える.
索引用語
laparoscopic appendectomy, athlete, thick abdominal wall
別刷請求先
萩原 謙 〒101-8309 千代田区神田駿河台1-8-13 駿河台日本大学病院外科
受理年月日
2008年12月17日
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