症例報告
同時性肝転移を来した大腸SM癌の2例
高倉 有二, 徳本 憲昭, 岡島 正純*, 池田 聡*, 檜井 孝夫*, 吉満 政義, 吉田 誠, 住谷 大輔, 浅原 利正
広島大学大学院医歯薬学総合研究科先進医療開発科学講座外科学, 同 内視鏡外科学講座*
我々はSM大腸癌に同時性肝転移を来した症例を2例経験したので報告する.症例1は70歳の男性で,原発巣は横行結腸の25 mm大のIsp病変で,EMRの結果は高分化型腺癌,pSM,ly0,v0であった.CTで肝右葉に径14 cm大の巨大な腫瘍を認めた.肝内胆管癌の診断で肝右葉切除,結腸部分切除を施行.病理組織学的検査所見は大腸癌肝転移であった.症例2は70代の女性で,原発巣は盲腸の20 mm大のIIa+IIc病変であった.肝S4に2 cm大の腫瘍を認め,針生検の結果大腸癌肝転移であった.回盲部切除,肝部分切除を施行し原発巣は高分化型腺癌,pSM,ly0,v3であった.2症例とも肝転移巣の免疫染色検査の結果,Cytokeratin(CK7)陰性,CK20陽性,β-catenin陽性であり診断に有用であった.大腸SM癌の同時性肝転移は非常にまれであり,文献的考察を加えて報告する.
索引用語
early colorectal cancer, liver metastasis, synchronous
別刷請求先
高倉 有二 〒734-8551 広島市南区霞1-2-3 広島大学大学院先進医療開発科学講座外科学
受理年月日
2008年11月19日
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