原著
術前歯垢培養による食道癌術後肺炎予測
阿久津 泰典, 松原 久裕, 岡住 慎一, 島田 英昭, 首藤 潔彦, 白鳥 享, 落合 武徳
千葉大学大学院先端応用外科
はじめに:食道癌症例において,術後肺炎はしばしば経験する術後合併症である.食道癌手術後は誤嚥しやすい状況にあり,口腔内において歯垢は細菌のリザーバーとしての役割をもち,また,上気道に不顕性に吸引されやすい.我々は食道癌患者において,術前の歯垢培養の結果と術後肺炎との関係を検討した.方法:39名の胸部食道癌手術予定の患者を対象とし,術前に歯垢の培養を行った.術後肺炎が発生した場合は喀痰培養を行った.結果:術後肺炎は14名(35.9%)にみられた.術前歯垢培養にて病原菌が検出された7名中5名(71.4%)に術後肺炎が発生した.一方,病原菌陰性の32名では9名(28.1%)のみであった.術前歯垢培養にて病原菌陽性かつ術後肺炎を起こした5名のうち2名(40.0%)で術後喀痰からも術前歯垢からと同一の病原菌を検出した.考察:術前歯垢中の病原菌の存在は胸部食道癌開胸手術後肺炎のリスクファクターであると考えられた.
索引用語
esophageal cancer, postoperative complication, pneumonia, dental plaque, oral care
別刷請求先
阿久津泰典 〒260-8670 千葉市中央区亥鼻1-8-1 千葉大学大学院先端応用外科
受理年月日
2008年11月19日
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