症例報告
孤立性仙骨転移を認めたstage I大腸癌の1例
釜田 茂幸, 清家 和裕, 亀高 尚, 牧野 裕庸, 小山 隆史, 安野 憲一, 宮崎 勝*
小田原市立病院外科, 千葉大学臓器制御外科*
Stage I大腸癌根治切除4年後に孤立性仙骨転移を来したまれな症例を経験した.症例は75歳の男性で,平成13年7月に近医でS状結腸癌のためS状結腸切除術を施行され,病理組織学的検査では高分化型管状腺癌,mp,n0,ly0,v0,Stage Iと診断された.平成18年5月,肛門痛の増強のため当科外来を受診した.仙骨に孤立性腫瘍を認め,他に明らかな原発巣はなかった.生検の結果,大腸癌孤立性仙骨転移と診断した.化学放射線療法では無効であったため,腫瘍のfeeding arteryから動注化学療法(以下,TAIC)を13クール施行した.臨床的に明らかな腫瘍径の変化や腫瘍マーカーの降下はなかった.多発肺転移が出現したため全身化学療法へと変更したが,術後6年8か月目に死亡した.大腸癌骨転移に対しては手術だけでなく,化学放射線療法,TAICなども含めた集学的治療が必要となる場合がある.まれな転移を示した本症例に対し,文献的考察を加えて報告する.
索引用語
solitary bone metastasis, metastatic sacral tumor, colon cancer
別刷請求先
釜田 茂幸 〒389-0111 北佐久郡軽井沢町大字長倉2375-1 軽井沢病院外科
受理年月日
2008年12月17日
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