症例報告
リンパ節転移を来した腫瘍径4 mmの直腸カルチノイドの1例
山永 成美, 横溝 博, 一二三 倫郎1), 佐藤 敏美2), 林 亨冶, 平田 稔彦
熊本赤十字病院外科, 同 消化器科1), 同 病理部2)
症例は58歳の男性で,検診で直腸Rbに粘膜下腫瘍を指摘された.直腸カルチノイドの診断でendoscopic submucosal dissection(ESD)を行った.病理組織学的検索では腫瘍径は4 mmで,垂直・水平断端はともに陰性であったが微小脈管侵襲が認められた.十分なインフォームドコンセントの後,追加手術を行ったところ,251番リンパ節に転移を認めた.直腸カルチノイドでは,径10 mm以上,深達度mp以深,中心陥凹,表面の凹凸不整像,脈管侵襲陽性などの所見があれば,追加切除や厳重な経過観察が必要とされている.腫瘍径5 mm以下では,リンパ節転移のない症例がほとんどであること,手術によりquality of lifeが損なわれる可能性があることから,追加切除の是非についてはいまだにコンセンサスが得られていない.しかし,本症例のごとく微小病変であっても脈管侵襲陽性例は追加手術,あるいは厳重な経過観察が必要と考えられた.
索引用語
rectal carcinoid, lymph node metastasis, vascular invasion
別刷請求先
山永 成美 〒861-8520 熊本市長嶺南2-1-1 熊本赤十字病院外科
受理年月日
2008年12月17日
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