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第42巻 第8号 2009年8月 [目次] [全文 ( PDF 679KB)]
症例報告

非アルコール性脂肪性肝炎合併肝門部胆管癌に対する肝拡大右葉切除術の1例

大黒 聖二, 青木 貴徳, 谷 誓良, 乾野 幸子, 下國 達志, 奥田 耕司, 高田 譲二, 浜田 弘巳

日鋼記念病院外科

 Nonalcoholic Steatohepatitis(以下,NASH)症例に対する肝切除においてはNASHによる肝予備能低下の可能性を念頭においた慎重な術前評価,切除術式の適応が必要である.症例は71歳の女性で,肝胆道系酵素の上昇を契機として左右肝管合流部から右肝管に主座をおく肝門部胆管癌と診断した.糖尿病,高脂血症,脂肪肝を有しておりNASHの合併が疑われた.ICGR15(%),99mTc-GSAシンチでのHH15,LHL15はいずれも正常値で肝予備能は良好と判断した.門脈塞栓術にて99mTc-GSAシンチによる推定残肝予備能は39.1%と増大が得られ,肝拡大右葉切除術を施行した.術後は肝不全の発症なく良好な経過であった.病理組織学的検査所見でもNASHと診断された.本症例はNASH症例においてもICGR15,99mTc-GSAシンチを中心とした肝硬変症例に準じた肝予備能評価,術式の適応が可能であることを示唆するものである.

索引用語
NASH, major hepatectomy, cholangiocarcinoma

日消外会誌 42: 1407-1412, 2009

別刷請求先
大黒 聖二 〒104-0045 中央区築地5-1-1 国立がんセンター中央病院外科

受理年月日
2008年12月17日

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