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第42巻 第9号 2009年9月 [目次] [全文 ( PDF 860KB)]
症例報告

左肝内胆管癌との鑑別が困難であったvon Meyenburg complexの1例

鈴木 秀樹, 和田 渉, 新木 健一郎, 小林 力, 佐野 彰彦, 櫻井 信司, 桑野 博行

群馬大学病態総合外科学, 同 病理診断部

 症例は58歳の男性で,腹部膨満感を主訴に近医受診した.腹部CTを施行し,左肝内胆管の異常が認められ精査目的に入院となった.血液検査上ではICG15分値の上昇がみられたが,腫瘍マーカーは正常範囲内であった.DIC-CTおよびERCPでは肝左葉外側区の肝内胆管の壁不整および左肝内胆管からB2,B3分岐部にかけて狭窄が認められたが,この部位の胆管ブラッシング細胞診ではClass IIであった.しかし,肝内胆管癌の可能性も完全には否定できず,本人および家族の同意のもとに肝左葉切除術を施行.病理組織学的検査では,左肝内胆管からB2,B3の胆管周囲に大小不同の嚢胞状に拡張した胆管が認められた.また,肝内胆管近傍の正常肝にも細胆管の増生をところどころ認められ,von Meyenburg complex(以下,VMC)から発生した拡張胆管と考えられた.VMCの中枢型の肝内胆管癌に類似した症例はまれであり若干の文献的考察を加え報告する.

索引用語
bile duct hamartoma, von Meyenburg complex, cholangiocarcinoma

日消外会誌 42: 1490-1495, 2009

別刷請求先
鈴木 秀樹 〒371-8511 前橋市昭和町3-39-15 群馬大学大学院病態総合外科学

受理年月日
2009年2月18日

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