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第42巻 第10号 2009年10月 [目次] [全文 ( PDF 739KB)]
症例報告

胃癌による髄膜癌腫症に対し腰椎髄液腔―腹腔短絡手術が緩和医療に寄与した1例

桑原 道郎, 江嵜 秀和, 西躰 隆太, 恒川 昭二, 滝 吉郎, 河合 潤**

日本赤十字社和歌山医療センター外科, 関西電力病院外科, 同 病理部**

 症例は62歳の男性で,胃腺腫に対し内視鏡的粘膜切除術を施行された後,毎年上部消化管内視鏡検査を施行されていた.採血でCEA 75 ng/dlと高値を示し,EMR瘢痕からの生検で印鑑細胞癌が認められ胃癌と診断された.手術予定となったが,頸部痛,肩こり,頭痛を認め,立てなくなり,複雑てんかん発作で緊急入院となった.入院当日の髄液検査で髄腔内圧が35 cmH2O以上で,減圧により症状が劇的に改善した.髄液から印鑑細胞が検出され,癌性髄膜炎による脳圧亢進症状と診断し,腰部硬膜下腔―腹腔シャント術を施行した.TS-1とCDDPによる化学療法を開始し,普段の生活に戻った.退院後約2か月目の朝6時にトイレで倒れているのを発見され救急車で搬送されたが,前日まで朝夕の散歩も普段通りしていたとのことであった.その後,意識が戻ることなく,再入院後1週間で死亡された.髄腔内圧は正常でシャントチューブに問題はなかった.

索引用語
meningeal carcinomatosis, gastric carcinoma, lumbo-peritoneal shunt

日消外会誌 42: 1557-1561, 2009

別刷請求先
桑原 道郎 〒640-8558 和歌山市小松原通4-20 日本赤十字社和歌山医療センター外科

受理年月日
2009年2月18日

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