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第42巻 第10号 2009年10月 [目次] [全文 ( PDF 787KB)]
症例報告

広範な腹壁膿瘍を呈した盲腸癌の1例

小林 宏寿, 榎本 雅之, 樋口 哲郎, 安野 正道, 植竹 宏之, 飯田 聡, 石川 敏昭, 石黒 めぐみ, 杉原 健一

東京医科歯科大学大学院腫瘍外科

 盲腸癌による穿通で広範な腹壁膿瘍を呈し,癌による穿通部以外にも複数の箇所で腹壁膿瘍と腸管に交通を認めた症例を経験したので報告する.症例は74歳の男性で,食思不振・腹痛で当院を受診された.腹部CTにて広範な腹壁膿瘍を認めるとともに,盲腸壁の肥厚を認めた.大腸癌による腹壁膿瘍が疑われたが,まず膿瘍ドレナージを施行し,全身状態の改善を図った.後日,結腸右半切除術を施行した.腹壁膿瘍が非常に広範であったこと,また入院時より患者の全身状態が不良なこともあり腹壁は合併切除しなかった.病理組織学的検索では盲腸の中分化腺癌で,pSI,pN2,ly2,v2,fStage IIIbであった.腹壁膿瘍を治療する場合,その原因として大腸癌も念頭におく必要があると考えられた.また,その診断にはCTが有用である一方,膿瘍ドレナージにおける細胞診の有用性は低いと考えられた.

索引用語
colon cancer, abdominal wall abscess

日消外会誌 42: 1603-1608, 2009

別刷請求先
小林 宏寿 〒113-8519 文京区湯島1-5-45 東京医科歯科大学大学院腫瘍外科

受理年月日
2009年2月18日

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