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第42巻 第10号 2009年10月 [目次] [全文 ( PDF 776KB)]
症例報告

脾臓転移巣からの出血を来した絨毛癌の1例

伊禮 聡子, 宮里 浩, 知念 順樹, 早坂 研, 村林 亮, 高江洲 亨, 金城 泉, 友利 寛文, 山城 和也

那覇市立病院外科

 絨毛癌の転移による脾臓破裂の1例を経験したので報告する.症例は34歳の女性で,突然に発症した強い下腹痛を主訴に受診,妊娠反応は陽性であった.当初は,子宮外妊娠破裂による腹腔内出血の診断であった.腹部は膨満しており,ショック状態であった.腹部CTでは,上腹部から下腹部にかけて液体貯留を認めた.胸部CTでは両肺野に多発する結節影を認め,悪性腫瘍の転移を思わせた.止血のため開腹術を施行すると,絨毛癌の脾臓転移巣からの持続的な出血がみられ,後日,病理組織学的診断で絨毛癌であると判明した.脾臓摘出術を行い,術後経過は良好であった.まれではあるが,腹腔内出血の鑑別診断として,悪性腫瘍の脾臓転移があることを念頭におく必要があると思われる.

索引用語
splenic rupture, choriocarcinoma

日消外会誌 42: 1637-1641, 2009

別刷請求先
伊禮 聡子 〒902-8511 那覇市古島2-31-1 那覇市立病院外科

受理年月日
2009年2月18日

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