症例報告
胃壁切開により切除しえた巨大十二指腸Brunner腺過形成の1例
五味 邦之, 梶川 昌二, 西山 和孝, 島田 宏, 矢澤 和虎, 代田 廣志, 中村 智次*
諏訪赤十字病院外科, 同 病理部*
症例は55歳の女性で,検診上部消化管内視鏡検査で十二指腸に巨大腫瘍を指摘され当院を受診.腫瘍は十二指腸球部に茎を有し,十二指腸下行脚に伸びる粘膜下腫瘍様の形態であり,超音波内視鏡検査よりBrunner腺腫が疑われた.出血,嵌頓の危険性があり悪性も否定できないため切除が必要と考えられたが,内視鏡検査では全容の把握が困難であり内視鏡的切除では出血などの危険性があるため開腹手術を施行した.摘出標本は6.5×1.5 cm大で,病理組織学的にはBrunner腺過形成であった.近年,Brunner腺過形成の切除方法として内視鏡的切除の報告例が増加しているが,本例のような巨大腫瘍に対しては外科的切除の方が安全であり,また切開部位としては術後狭窄を回避するために症例によっては胃前壁切開も有効であると考えられた.
索引用語
Brunner's gland hyperplasia, duodenal tumor, operation
日消外会誌 42: 1664-1669, 2009
別刷請求先
五味 邦之 〒392-8510 諏訪市湖岸通り5-11-50 諏訪赤十字病院外科
受理年月日
2009年3月25日
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