症例報告
胆嚢結石・胆嚢癌を合併した輪状膵の1症例
岡本 佳樹, 因藤 春秋, 若林 久男*, 鈴木 康之*, 前場 隆志
社会保険栗林病院外科, 香川大学消化器外科*
症例は81歳の女性で,上腹部痛,嘔気嘔吐で近医を受診し,胆嚢の異常を指摘され,当院内科を紹介受診となった.CT,MRCP,ERCP,胃十二指腸造影などの検査所見から,胆石症および輪状膵と診断し,手術を行った.手術は開腹胆嚢摘出術,総胆管切石術の予定で開始した.膵頭部は十二指腸前面から右側方に約2/3周取り囲んでいた.摘出胆嚢には,体部腹腔側に18×15×2 mmの隆起性病変を認めたため,No12cリンパ節とともに,迅速病理組織学的検査に提出したところ,胆嚢癌とその転移と診断された.肉眼的漿膜浸潤はなく,年齢を考慮し,D2郭清のみ追加し,手術を終了した.術後経過は良好で,術後40日目に退院,4年6か月間,無再発生存中である.
索引用語
annular pancreas, cholelithiasis, gallbladder carcinoma
日消外会誌 42: 1693-1698, 2009
別刷請求先
岡本 佳樹 〒761-0793 木田郡三木町大字池戸1750-1 香川大学医学部消化器外科
受理年月日
2009年3月25日
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