症例報告
放射線腸炎に合併した真性腸石の1例
成井 一隆, 渡會 伸治, 木村 準, 大田 貢由, 市川 靖史, 嶋田 紘
横浜市立大学大学院医学研究科消化器病態外科学
症例は69歳の女性で,41歳時に子宮頸癌の術後に放射線療法を受けた.2006年1月,放射線照射後から認めた下腹痛の増悪を自覚した.腹部CTで,回腸末端から約20 cm口側の回腸に結石と狭窄を認めた.下腹痛の原因は結石と狭窄と考え,2006年4月,手術を施行した.回腸の狭窄とその口側の拡張腸管内に結石を認め,回腸部分切除術を施行した.摘出標本の病理組織学的検査所見は放射線腸炎で,狭窄部は潰瘍瘢痕であり,狭窄の原因は放射線照射による潰瘍の瘢痕狭窄と考えられた.結石の主成分は胆汁酸であった.放射線照射後は,数十年が経過しても放射線腸炎に留意するべきであり,腸石症も考慮すべき病態の一つであると思われた.
索引用語
enterolithiasis, radiation enteritis, bowel obstruction
日消外会誌 42: 1728-1732, 2009
別刷請求先
成井 一隆 〒236-0004 横浜市金沢区福浦3-9 横浜市立大学大学院医学研究科消化器病態外科学
受理年月日
2009年3月25日
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