症例報告
2係蹄の腸管が嵌頓した回腸導管ストーマ旁ヘルニアの1例
村岡 孝幸, 泉 貞言, 鈴鹿 伊智雄, 大橋 龍一郎, 徳毛 誠樹, 塩田 邦彦
香川県立中央病院外科
ストーマ旁ヘルニアはストーマ造設後にみられる後期合併症の一つであるが,絞扼性イレウスを呈するものはまれである.我々は先行する脱出腸管とは別係蹄の腸管が嵌入したことによって絞扼性イレウスを発症したと考えられる回腸導管ストーマ旁ヘルニアの1例を経験した.症例は86歳の女性で,30年前膀胱癌のために膀胱全摘術および回腸導管造設術を受けていた.数年前から回腸導管ストーマ旁ヘルニアを認めていたが,経過観察していた.平成20年1月起床後にストーマ周囲に著明な膨隆を認め,精査の結果回腸導管ストーマ近傍から小腸および結腸が脱出し,嵌頓していたため,緊急手術を施行した.ヘルニア嚢内には30 cmの回腸と5 cmの横行結腸を認めた.壊死した2か所の脱出腸管を切除し,ヘルニア門の単純縫合閉鎖を施行した.再発を認めず外来経過観察中である.
索引用語
parastomal hernia, ileal conduit, strangulated ileus
日消外会誌 42: 1733-1736, 2009
別刷請求先
村岡 孝幸 〒760-8557 高松市番町5-4-16 香川県立中央病院外科
受理年月日
2009年3月25日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|