症例報告
胃軸捻転症を合併した横隔膜傍裂孔ヘルニアの1例
長谷川 聡, 鈴木 喜裕, 廣島 幸彦, 山崎 安信, 池 秀之
済生会横浜市南部病院外科
横隔膜ヘルニアの一型である傍裂孔ヘルニアに胃軸捻転症を合併した1例を経験したので報告する.症例は86歳の女性で,以前より横隔膜ヘルニアを指摘されていたが,外傷の既往はない.平成18年11月上旬左胸背部から心窩部の痛みが出現し救急車で当院受診となった.胸部X線検査およびCTでは胸腔内にガス像を認めた.胃管を挿入し減圧すると症状は軽快した.上部消化管造影検査により胃軸捻転を伴う傍食道型食道裂孔ヘルニアと診断した.開腹し,胸腔内に入り込んでいた胃前庭部を整復したところ,ヘルニア門は左横隔膜にあり食道裂孔との間に横隔膜脚が存在しており,横隔膜傍裂孔ヘルニアと診断した.これまで逆流症状がなかったため,ヘルニア門を縫縮し手術を終えた.術後上部消化管造影検査では胃は正常な位置にあり,術後20日目に退院し,現在再発はない.
索引用語
parahiatal hernia, gastric volvulus
日消外会誌 42: 1768-1772, 2009
別刷請求先
長谷川 聡 〒236-0004 横浜市金沢区福浦3-9 横浜市立大学医学部消化器・腫瘍外科
受理年月日
2009年4月22日
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