症例報告
Stage IA早期胃癌術後大腸転移が疑われた1例
高橋 玄, 佐藤 雅彦, 渡部 英, 根上 直樹, 齋藤 徹也, 石戸 保典, 玉崎 秀次, 山田 正樹
済生会川口総合病院外科
Stage IA早期胃癌の術後に,原発性大腸癌を疑う形態を呈した大腸転移の1例を経験した.症例は69歳の男性で,平成19年3月に胃癌にて幽門側胃切除を施行した.病理組織学的検査所見では癌細胞の異型が強く,por1 with sig,pT1(SM2),pN0,sH0,sP0,sM0でStage IAであった.術後CEAは徐々に上昇し,8か月後に9.4 ng/mlまで上昇したためpositron emission tomographyを施行したところ上行結腸に集積が認められた.大腸内視鏡検査を施行すると上行結腸に潰瘍性病変が認められ,生検では低分化腺癌であった.原発性の上行結腸癌の診断で平成20年1月に右結腸切除術を施行した.病理組織学的検査所見およびCytokeratinによる免疫組織化学染色検査から胃癌の転移と診断した.Stage IA早期胃癌からの大腸転移は極めてまれで本邦では他に例を見ない.早期胃癌であっても癌細胞の異型が強いと悪性度が高く転移を起こすことがあり,示唆に富む症例と思われたため文献的考察を加え報告する.
索引用語
early gastric cancer, colonic metastasis
日消外会誌 42: 1779-1784, 2009
別刷請求先
高橋 玄 〒113-8421 文京区本郷2-1-1 順天堂大学外科
受理年月日
2009年4月22日
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