症例報告
胆管炎を契機に発見された十二指腸乳頭部腺腫を合併したcholedochoceleの1例
中川 直哉, 佐々木 秀, 小林 健, 内藤 浩之, 橋詰 淳司, 越智 誠, 立本 直邦, 國安 弘基1), 村上 義昭2), 末田 泰二郎2)
市立三次中央病院外科, 同 病理部1), 広島大学病態制御医科学講座外科2)
Choledochoceleは先天性胆道拡張症のなかでもまれな疾患である.症例は81歳の男性で,心窩部痛を主訴に当院紹介となった.腹部CT,MRCPで下部胆管に嚢胞状拡張を認め,上部消化管内視鏡検査で乳頭口側に20 mm大の半球状隆起と乳頭に顆粒状変化を認めた.乳頭の生検ではtubular adenomaが検出され,十二指腸乳頭腺腫を合併したcholedochoceleの診断にて,経十二指腸的乳頭切除術,総胆管嚢腫切除術を施行した.Choledochoceleの治療においては嚢腫内の胆汁うっ滞の解除を目的に内視鏡的乳頭切開などの非手術的治療がまず考慮される場合が多いが,本例では十二指腸乳頭部腺腫を合併しており乳頭部腺腫の切除と嚢腫の開放を確実に行う目的で開腹手術を選択した.Choledochoceleにおいても少数ながら癌合併例も報告されており,手術的または非手術的な治療後も定期的な経過観察が必要と考えられた.
索引用語
choledochocele, ampullary adenoma, choledochal cyst
日消外会誌 42: 1795-1801, 2009
別刷請求先
中川 直哉 〒728-8502 三次市東酒屋町531 市立三次中央病院外科
受理年月日
2009年5月27日
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