症例報告
完全内臓逆位症にみられた胆管癌の1例
前田 真一, 小倉 芳人, 内倉 敬一郎, 前村 公成1), 新地 洋之2), 高尾 尊身3), 夏越 祥次2)
国立病院機構南九州病院外科, 済生会川内病院外科1), 鹿児島大学大学院腫瘍制御学・消化器外科学2), 鹿児島大学フロンティアサイエンス研究推進センター3)
完全内臓逆位を伴った胆管癌の1例を経験したので報告する.症例は75歳の女性で,前医にて閉塞性黄疸を指摘され,当院へ紹介入院した.腹部CTで完全内臓逆位および胆管腫瘍による閉塞所見を認め,経皮経肝胆道造影検査にて肝門部胆管から中部胆管に隆起性の腫瘍性病変が認められた.以上より,胆管癌の診断にて,手術を施行した.開腹時,肝門部より膵内胆管まで広がる比較的やわらかい腫瘍が認められたため,胆管切除・リンパ節郭清術・胆管空腸吻合術を施行した.腫瘍は表層拡大進展を伴った乳頭型の早期胆管癌であり,病理組織学的には中分化型腺癌であった.完全内臓逆位に伴った胆管癌の本邦での報告は自験例を含め7例目であり報告した.
索引用語
situs inversus totalis, bile duct carcinoma
日消外会誌 42: 1802-1807, 2009
別刷請求先
前田 真一 〒899-5293 姶良郡加治木町木田1882 国立病院機構南九州病院外科
受理年月日
2009年4月22日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|