症例報告
肛門機能を温存できた肛門周囲Paget病の1例
知念 順樹, 宮里 浩, 久志 一朗, 伊禮 聡子, 早坂 研, 松浦 文昭, 豊見山 健, 高江洲 享, 金城 泉, 山城 和也
那覇市立病院外科
肛門周囲Paget病に対して,肛門括約筋を温存し,肛門管および広範囲皮膚切除と分層皮膚移植による再建を行い,良好な経過を得た1症例を経験したので報告する.症例は70歳の女性で,肛門周囲掻痒を訴え当院皮膚科を受診し,皮膚生検にて肛門周囲Paget病と診断した.肛門管浸潤が疑われ,当科紹介となり,手術の方針となった.病変部辺縁から2 cm離し,脂肪層の深さで広範囲皮膚切除を施行し,肛門管は歯状線から1 cm口側で肛門粘膜を切除した.切除ラインの直腸粘膜を肛門へ引き出し,外肛門括約筋と全周性に縫合し,右大腿後面より採皮し分層皮膚移植を施行した.術直後は便失禁を認めていたが,徐々に改善し,懸念された肛門狭窄は軽度であり,術後1年半経過した現在,肛門機能の低下を認めていない.肛門周囲Paget病に対して,広範囲皮膚切除と分層皮膚移植による再建は,一時的人工肛門造設の必要がないため,患者のquality of lifeに寄与すると考えられた.
索引用語
extramammry perianal Paget's disease, anorectal function, Split-thickness skin grafting
別刷請求先
知念 順樹 〒902-8511 那覇市古島2-31-1 那覇市立病院外科
受理年月日
2009年5月27日
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