臨床経験
臀部弧状切開により括約筋温存手術を行った直腸原発gastrointestinal stromal tumorの1例
永田 二郎, 平林 祥, 大西 英二, 中西 賢一, 大屋 久晴, 福本 良平, 西 鉄生, 森岡 祐貴, 間瀬 隆弘, 橋本 昌司
一宮市立市民病院外科
症例は76歳の男性で,肛門管にかかる下部直腸原発の粘膜下腫瘍gastrointestinal stromal tumor(以下,GIST)の診断で手術を行った.Jack-Knife位で臀部を弧状に切開して直腸に到達し,腫瘤を含めて直腸後壁を切除して縫合閉鎖した.予防的に造設した人工肛門は6週間後に閉鎖した.腫瘍の大きさは6.5×4.8×4.0 cmで,病理組織学的に直腸原発のuncommitted typeのGISTと診断された.排便機能は良好に保たれており,術後2年の現在,再発徴候なく外来で経過観察中である.直腸原発GISTに対する後方からの臀部弧状切開によるアプローチは,従来の後方アプローチによる術式に比べて創感染を含めた術後合併症の発生を軽減できる可能性があり,また術野が良好で直視下にsafety marginを確保しながら切除しうることから根治性の面でも満足できる術式であると考えられた.この症例につき文献的に考察を加えて報告する.
索引用語
rectal GIST, cluneal arched skin incision, sphincter-saving operation
別刷請求先
永田 二郎 〒491-8558 愛知県一宮市文京2-2-22 一宮市立市民病院外科
受理年月日
2009年5月27日
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