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第43巻 第2号 2010年2月 [目次] [全文 ( PDF 1145KB)]
症例報告

肝門部胆管癌と鑑別困難であった肝門部限局性非特異性慢性胆管炎の2手術例

横山 幸浩, 渡邊 真哉, 西尾 秀樹, 江畑 智希, 伊神 剛, 菅原 元, 梛野 正人

名古屋大学腫瘍外科

 肝門部胆管癌と診断し肝外胆管切除を伴う肝葉切除を施行した良性胆道狭窄の2例を報告する.いずれの症例も黄疸を主訴に他院にて胆道ドレナージを受けた後,来院した.右肝管を中心に著明な狭窄像を呈し,CTでは腹腔内リンパ節腫大が目立った.膵臓には異常所見を診断しえなかった.また,胆管像では進行性硬化性胆管炎に特徴的な所見を認めず臨床症状,画像検査所見からは良性疾患と診断しえなかった.いずれの症例も肝右葉切除,尾状葉切除,肝外胆管切除術を施行した.病理組織学的検討ではいずれも粘膜下に著明なlymphoplasmacytic inflammatory infiltrationを認める慢性胆管炎の所見でIgG4免疫染色検査は陰性であった.肝門部胆管狭窄病変を診断する際には,本報告で示したような症例があることを常に念頭におき,慎重な対応を心がける必要がある.

索引用語
hilar cholangiocarcinoma, benign biliary stricture, chronic cholangitis

日消外会誌 43: 160-165, 2010

別刷請求先
横山 幸浩 〒466-8550 名古屋市昭和区鶴舞町65番地 名古屋大学腫瘍外科

受理年月日
2009年7月22日

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