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第43巻 第2号 2010年2月 [目次] [全文 ( PDF 1660KB)]
症例報告

急速な転帰をたどった下部胆管原発の未分化癌の1例

打波 宇, 阿部 ゆき, 工藤 和大, 久米 真, 南條 博, 山本 雄造

秋田大学消化器外科, 同 病理

 症例は80歳の女性で,閉塞性黄疸にて発症し,下部胆管癌の診断で膵頭十二指腸切除を施行した.摘出標本では平坦浸潤型を呈する4×3.5×3 cm大の充実性腫瘍で,膵実質に浸潤していた.組織学的には紡錘形および巨核の腫瘍細胞が増殖し,肉腫様の像を呈していた.免疫組織染色検査で腫瘍細胞に上皮系マーカーであるAE1/AE3とCK7,間葉系マーカーであるVimentinがともに陽性であり,下部胆管原発のspindle and giant cell typeの未分化癌と診断した.胆道癌取扱い規約ではpT4, pN2(No.6+12), M0, fStageⅣbであった.術後21日目に多発性肝転移とリンパ節再発,27日目には癌性胸腹水が出現し,39日目に癌死した.肝外胆管が原発の未分化癌はまれな疾患であるが,他臓器原発の未分化癌と同様,極めて予後不良な腫瘍であることが示唆された.

索引用語
undifferentiated carcinoma, spindle and giant cell type, common bile duct

日消外会誌 43: 166-171, 2010

別刷請求先
打波  宇 〒010-8543 秋田市本道1-1-1 秋田大学消化器外科

受理年月日
2009年6月18日

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