症例報告
急速な転帰をたどった下部胆管原発の未分化癌の1例
打波 宇, 阿部 ゆき, 工藤 和大, 久米 真, 南條 博*, 山本 雄造
秋田大学消化器外科, 同 病理*
症例は80歳の女性で,閉塞性黄疸にて発症し,下部胆管癌の診断で膵頭十二指腸切除を施行した.摘出標本では平坦浸潤型を呈する4×3.5×3 cm大の充実性腫瘍で,膵実質に浸潤していた.組織学的には紡錘形および巨核の腫瘍細胞が増殖し,肉腫様の像を呈していた.免疫組織染色検査で腫瘍細胞に上皮系マーカーであるAE1/AE3とCK7,間葉系マーカーであるVimentinがともに陽性であり,下部胆管原発のspindle and giant cell typeの未分化癌と診断した.胆道癌取扱い規約ではpT4, pN2(No.6+12), M0, fStageⅣbであった.術後21日目に多発性肝転移とリンパ節再発,27日目には癌性胸腹水が出現し,39日目に癌死した.肝外胆管が原発の未分化癌はまれな疾患であるが,他臓器原発の未分化癌と同様,極めて予後不良な腫瘍であることが示唆された.
索引用語
undifferentiated carcinoma, spindle and giant cell type, common bile duct
別刷請求先
打波 宇 〒010-8543 秋田市本道1-1-1 秋田大学消化器外科
受理年月日
2009年6月18日
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