膵・胆管合流異常を伴わない先天性胆道拡張症に対する分流手術後13年で膵内遺残胆管に発生した胆管癌の1例

石戸　圭之輔, 豊木　嘉一, 池永　照史郎一期, 堤　伸二, 鳴海　俊治, 袴田　健一

弘前大学大学院医学研究科消化器・乳腺・甲状腺外科

　症例は41歳の女性で，28歳時に先天性胆道拡張症（Alonso-Lej Ia型，膵・胆管合流異常なし）に対して嚢腫切除および肝管空腸Roux-en Y吻合術を施行された．2008年春に上腹部痛および体重減少を主訴に当科入院した．上部消化管内視鏡検査では幽門輪の高度な狭窄を認め，CTでは膵頭部に25 mm大の腫瘤を認めた．Positron emission tomographyではCTの腫瘤に一致してfluorodeoxyglucoseの集積を認めた．膵内遺残胆管癌の診断のもと，亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を行った．病理組織学的診断では膵内胆管原発管状腺癌を認め，先天性胆道拡張症手術後に発生した膵内遺残胆管癌と考えられた．術後4週よりTS-1 100 mg/bodyを用いた術後補助化学療法を行っているが，術後6か月再発や転移を認めていない．合流異常を伴わない先天性胆道拡張症分流手術後13年経過し，膵内遺残胆管に発生した胆管癌の極めてまれな1例を経験したので，文献学的考察を加えて報告する．

索引用語
choledochal cyst, remnant bile duct, pancreatobiliary maljunction

別刷請求先
石戸圭之輔　〒036-8562　弘前市在府町5番地　弘前大学大学院医学研究科消化器外科学講座

受理年月日
2009年6月18日

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