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第43巻 第2号 2010年2月 [目次] [全文 ( PDF 1254KB)]
症例報告

膵内分泌腫瘍の発症により診断された散発性von Hippel-Lindau病の1例

森田 泰弘, 高西 喜重郎, 小坂 至, 松本 潤

東京都立府中病院外科

 症例は45歳の男性で,31歳時に小脳血管芽腫にて開頭腫瘍摘出術を施行した.家族歴にvon Hippel-Lindau病(以下,VHL病)はなかった.2007年5月の健診にて膵腫瘍を認め,精査加療目的7月上旬に当院紹介となった.精査にて非機能性膵内分泌腫瘍,膵漿液性嚢胞腫瘍の診断となり,8月下旬に幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行された.病理では神経内分泌腫瘍,膵漿液性嚢胞腺腫の診断であった.本症例は家族歴のない散発性のVHL病であったため,小脳血管芽腫の手術の際には診断基準を満たさなかったが,14年経過した今回の手術でVHL病と診断された.家族歴がなくとも,網膜や中枢神経の血管芽腫などのVHL病を疑う疾患があれば,長期にわたるフォローが必要であると考えられた.

索引用語
pancreatic endocrine tumor, von Hippel-Lindau disease, pancreatic serous cystadenoma

日消外会誌 43: 179-183, 2010

別刷請求先
森田 泰弘 〒183-0042 府中市武蔵台2-9-2 東京都立府中病院外科

受理年月日
2009年6月18日

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