早期大腸印環細胞癌の2切除例

馬場　研二, 石神　純也, 北薗　正樹, 中馬　豊, 石澤　隆, 夏越　祥次

鹿児島大学腫瘍制御学消化器外科

　今回，我々はまれな早期大腸印環細胞癌の2例を経験したので報告する．症例1は61歳の男性で，大腸内視鏡検査で盲腸にIIa＋IIc病変を認め，生検で低分化腺癌と診断され，結腸右半切除術＋D3郭清を施行した．病理組織学的検査は印環細胞癌，T1（sm），N0，StageIであった．術後9年の現在，無再発生存中である．症例2は80歳の男性で，S状結腸癌術後の定期的な大腸内視鏡検査で盲腸にIs型ポリープを認めたため内視鏡的切除を施行した．広範な粘膜下層浸潤がある印環細胞成分を伴う中分化腺癌と診断されたため，腹腔鏡下回盲部切除術＋D1郭清を追加した．組織学的には腫瘍の残存やリンパ節転移はみられなかった．無再発経過中に，術後2年で他病死した．大腸印環細胞癌は一般的に進行癌で発見され，悪性度が高く予後不良である．しかし，自験例のような早期癌症例では根治切除で良好な予後が期待できると考えられた．

索引用語
signet-ring cell carcinoma, early colon cancer, surgery

別刷請求先
馬場　研二　〒890-8520　鹿児島市桜ケ丘8-35-1　鹿児島大学腫瘍制御学消化器外科

受理年月日
2009年7月22日

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